所得制限が撤廃されても手続はなくなりません — 消えたのは所得の書類だけ
2026年度から、高等学校等就学支援金の所得制限が撤廃されました。「もう収入を届け出る必要はない」と受け取った保護者は少なくありません。半分は当たっています。
しかし毎年、支給が止まる家庭が出ます。引き金は所得ではなく手続の未了です。文部科学省の制度上、生徒が引き続き在籍し支援金を受け取る意思があるかを毎年確認する仕組みは残っています。これに答えないと、所得がいくらであろうと止まります。
チェックポイント
- 所得制限の撤廃は2026年4月1日から。所得による対象外がなくなりました。
- 手続はe-Shienで行い、学校が配るログインID通知書でログインします。
- 流れは意向登録(継続の意思)と認定申請の二段階。学校の案内する時期に行います。
- 所得確認書類は不要になった代わりに、日本国籍なら住民票の写し、外国籍なら在留カードの写し等が必要です。
1 止まる理由は所得ではなく「答えなかったこと」
就学支援金は在籍していれば自動で続く仕組みではありません。生徒が引き続き在籍し、支援金を受け取る意思があるかを、学校とシステムが毎年確認します。この確認に応じないと支給は止まります。
所得制限があった時代は「所得超過で止まった」のか「手続漏れで止まった」のかが混ざっていました。制限が撤廃された今、止まる原因は手続の未了しか残っていません。裏を返せば、きちんと出しさえすれば止まらないということでもあります。
厄介なのは、案内が生徒経由で来ることです。プリントが鞄の底で潰れている、本人が「出しておいた」と言うが実は途中で止まっている — 高校生の家庭でよくある事故です。保護者側で期限を把握しておくのが確実です。

2 e-Shien — ログインIDは学校からしか出ません
手続はオンラインのe-Shienで行います。ログインに使うのは、学校から配られるログインID通知書です。これは自分で発行できるものではなく、なくしたら学校に再発行を頼むしかありません。
流れは二段階です。まず意向登録 — 支援金を引き続き受けるかどうかの意思表示。次に認定申請 — 実際の申請内容の入力と提出。学校の案内では、在校生は年度初めに意向登録、その後に申請、という時期で示されることが多くなっています。
つまずきどころは毎年同じです。ログインID通知書を紛失している、入力を終えて画面を閉じただけで提出できていない、必要書類の添付が漏れている。どれも本人は「やった」と思っています。
提出後は受付状況を必ず確認してください。学校の事務室でも進捗が把握できるので、期限が近いのに状態がはっきりしないなら直接聞くのが早い。

3 所得の書類は消えたが、書類が消えたわけではない
ここが今回の改正でいちばん誤解されている点です。所得制限の撤廃により所得を確認するための手続や書類は不要になりました。マイナンバーの提出で所得確認をしていた部分も、その必要がなくなります。
その代わりに、日本国籍の場合は住民票の写し、外国籍の場合は在留カードの写しなどの提出が求められる形になりました。所得ではなく在留・居住の確認に軸が移ったということです。
だから「今年から何も出さなくていい」は誤りです。出す書類の種類が変わっただけで、出す行為そのものは残っています。住民票の写しは市区町村で取る必要があるので、締切の直前に気づくと間に合わないこともあります。
支給額そのものも動きました。私立高校(全日制)への支援は引き上げられています。金額は年度で改定されるため、学校からの案内か文部科学省の資料で最新の額を確認してください。
4 よくある間違いと直し方
間違い 1
所得制限撤廃を手続の廃止だと受け取る — 止まる原因は手続の未了だけになりました。
間違い 2
案内を生徒任せにする — プリントが届いていないことに気づけません。
間違い 3
ログインID通知書を紛失する — 学校でしか再発行できません。
間違い 4
入力後に提出まで完了しているかを確認しない。
間違い 5
住民票の写しが必要になったことを知らず、締切直前に気づく。
今日やること
学校からの案内が来る時期を保護者側でも把握し、ログインID通知書の所在を今のうちに確認してください。あわせて、住民票の写しなど今年から必要になる書類を早めに用意しておけば、締切前に慌てずに済みます。提出後は受付状況の確認まで。
FAQ よくある質問
所得制限がなくなったのに、なぜ毎年手続が要るのですか。
支援金は在籍と受給意思の確認を前提とした制度だからです。転校や退学、他の支援との関係もあるため、毎年その年度の状況を確認する運用が残っています。所得制限の撤廃は「判定条件」の変更であって、「確認手続」の廃止ではありません。
マイナンバーはもう出さなくていいのですか。
所得制限の撤廃により所得確認のための手続は不要とされています。ただし年度や学校によって案内が異なる場合があるため、学校から配られる資料の指示に従ってください。代わりに住民票の写しなどの提出が求められます。
手続の期限を過ぎてしまいました。
まず学校の事務室に連絡してください。さかのぼって認められる範囲には限りがあるため、気づいた時点ですぐ動くほど損失が小さくなります。放置すると授業料が全額請求されることになります。
支援金はいくら振り込まれますか。
家庭の口座に振り込まれるのではなく、学校に直接支払われて授業料と相殺されるのが基本です。私立高校への支援額は2026年度から引き上げられていますが、金額は年度で改定されるため、学校の案内か文部科学省の資料で確認してください。
要点まとめ
- 所得制限は2026年度から撤廃。止まる原因は手続の未了だけになりました。
- 手続はe-Shienで、学校が配るログインID通知書が必須。
- 意向登録 → 認定申請の二段階。提出完了まで確認を。
- 所得書類は不要になったが、住民票の写しなど別の書類が要ります。