介護施設の食費・居住費が8月から改定 — 上がる人と上がらない人
2026年8月1日から、介護保険施設に入所している方の食費と居住費(ショートステイでは滞在費)の負担限度額が改定されます。同じ8月に高額療養費の上限も変わるため、「また負担が増えるのか」と身構えている方も多いはずです。
ただ、今回の改定は全員の負担が上がるわけではありません。食費は第3段階の方だけ、居住費にいたっては第3段階②の方だけが対象です。第1段階・第2段階の方は、食費も居住費も据え置きです。まず自分がどの段階なのかを確かめるところから始めてください。
チェックポイント
- 改定は2026年8月1日から。2026年8月以後に提供されたサービス分に適用されます。
- 食費が上がるのは第3段階①・②のみ。第1段階・第2段階は据え置きです。
- 居住費が上がるのは第3段階②だけ。第3段階①はどの居室区分でも据え置きです。
- 所得区分の判定に使う年金収入等の基準額が引き上げられます。これは負担増ではなく、基礎年金だけで暮らす方が不利にならないための調整です。
1 まず自分の利用者負担段階を確かめる — 判定は3階建て
補足給付(特定入所者介護サービス費)の対象になるかどうかは、三つの条件を順に確認します。第一に、世帯全員が市町村民税非課税であること。ここで見落とされがちなのが、世帯分離した配偶者も判定の対象になる点です。世帯を分けても配偶者が課税されていれば対象外になります。
第二に、収入の額です。課税年金収入額に「その他の合計所得金額」を足し、さらに遺族年金や障害年金などの非課税年金も加えて判定します。非課税年金が判定に含まれるようになったのは以前からの取り扱いですが、いまだに「非課税なら関係ない」と思われている点です。第三に、預貯金や有価証券などの資産額。単身と配偶者がいる場合とで基準が異なり、配偶者がいる場合は単身の基準額に一定額が加算されます。生活保護を受給している方には預貯金の要件がありません。
この収入判定に使う基準額が、2026年8月から引き上げられます。理由は、老齢基礎年金の満額が従来の基準額を超えてしまったためです。満額の基礎年金だけで生活している方が、それだけの理由で上の段階に押し上げられないようにするための調整で、読者にとっては有利な方向の改正です。

2 8月から何が上がるのか — 食費と、第3段階②の居住費だけ
ここが今回いちばん誤解されている部分です。「食費も居住費も一律に100円上がる」という説明を見かけますが、正しくありません。居住費が上がるのは第3段階②だけで、第1段階・第2段階・第3段階①はどの居室区分でも据え置きです。しかも第3段階②であっても、老健や介護医療院などで室料を徴収しない多床室は据え置きのままです。改定の案内に「一部の方を除き」と書かれているのは、これを指しています。
食費のほうは、施設が定める標準額(基準費用額)が引き上げられたうえで、第3段階①と第3段階②の負担限度額が上がります。第1段階・第2段階の食費は変わりません。居住費の基準費用額は据え置きで、上がるのは食費の基準費用額だけです。
実際の負担増を段階別に整理すると次のとおりです。第3段階②で多床室の方がいちばん大きく、日額にして食費と居住費の合計で百数十円、ひと月ではおよそ五千円ほどの増加になります。第3段階①の方は食費の増分だけなので、ひと月で千円に届きません。
| 利用者負担段階 | 食費 | 居住費(滞在費) |
|---|---|---|
| 第1段階 | 据え置き | 据え置き |
| 第2段階 | 据え置き | 据え置き |
| 第3段階① | 引き上げ | 据え置き |
| 第3段階② | 引き上げ(第3段階①より大きい) | 引き上げ ※室料を徴収しない多床室は据え置き |
| 第4段階(非該当) | 補足給付の対象外 — 施設との契約による | 補足給付の対象外 |
3 7月の更新申請を出し忘れても、8月中ならまだ間に合う
負担限度額認定は毎年8月1日から翌年7月31日までが有効期間で、毎年申請が必要です。多くの自治体が7月中に一斉更新の受付をするため、「7月の締切を過ぎたからもう無理」と諦めてしまう方がいます。それは違います。 認定の効力は申請した月の1日から始まる取り扱いが広く採られているため、8月中に申請すれば8月分から適用されます。
逆に言えば、9月に入ってから申請すると効力は9月1日からになり、8月分は遡れません。7月の案内を出し忘れたことに気づいたら、いま市区町村の介護保険担当課へ申請してください。認定証の到着は8月中旬以降になるのが通常です。なお、この「申請月の1日から」という運用は自治体の案内で広く共通していますが、全国一律の法令規定として書かれているものではないため、お住まいの市区町村の案内で必ず確認してください。
認定証が届いたら、承認・不承認にかかわらず必ず施設に提示します。提示が間に合わず標準額を全額払ってしまった場合でも、あとから差額の支給を申請できます。領収書の原本と費用の明細が必要になるので、捨てないでください。

4 よくある間違いと直し方
間違い 1
「食費も居住費も全員上がる」と思い込むこと — 食費は第3段階のみ、居住費にいたっては第3段階②のみが対象です。
間違い 2
「ユニット型個室が880円から980円になる」という説明を信じること — それは従来型個室(特養等)の金額で、居室区分を取り違えています。
間違い 3
7月の更新締切を過ぎたら8月分は諦めるしかないと考えること — 8月中に申請すれば8月分から適用されます。手遅れになるのは9月に入ってからです。
今日やること
まず自分(またはご家族)が第何段階かを確認し、7月の更新申請を出していなければ8月中に市区町村へ申請してください。改定後の実際の金額は、厚生労働省の改定リーフレットで段階別・居室区分別に確認できます。
FAQ よくある質問
2026年8月から、実際にどれくらい負担が増えますか?
第3段階②で多床室の場合が最も大きく、食費と居住費を合わせて日額で百数十円、ひと月でおよそ五千円ほどの増加です。第3段階①は食費の増分だけなので、ひと月で千円に届きません。第1段階・第2段階の方は変わりません。
更新申請を出し忘れました。もう手遅れですか?
手遅れではありません。多くの自治体では8月中に申請すれば8月1日から適用されます。ただし過去の月には遡れないため、9月に入ると8月分は対象外になります。至急、市区町村の介護保険担当課へご相談ください。
判定の基準額が上がると、負担は増えるのですか、減るのですか?
有利になる方向の改正です。老齢基礎年金の満額が従来の基準額を超えたため、基礎年金だけで暮らす方が上の段階に押し上げられないよう基準を引き上げたものです。
要点まとめ
- 改定は2026年8月1日から。8月以後に提供されたサービス分に適用されます。
- 食費が上がるのは第3段階①・②、居住費が上がるのは第3段階②だけ。第1・第2段階は据え置きです。
- 所得区分の判定基準額の引き上げは負担増ではなく、基礎年金生活者を守るための調整です。
- 負担限度額認定は毎年8月からの1年更新。7月に出し忘れても、8月中の申請なら8月分から間に合います。